子供

先天性喘息

症状

出生時から数週間以内の乳児が、おもに息を吸い込むときに、ぜーぜー、ごろごろという音をたてる状態のことを先天性喘鳴という。
胸骨の上部が呼吸と一緒に引っ込むようなことがあり、授乳のときに音が強くなる。これはひとつの病気ではなく、さまざまな原因が重なり合って、いろいろな病気が集まったものである。ぜんそくと勘違いする母親もいるが、月齢で区別する。

原因と経過

最も多いのは、喉頭を構成する軟骨組織が未熟なためや、気管の輪状軟骨が軟弱なために起こるものである。生後1ヶ月までにゼーゼーという症状が出るが、一般に全身の状態はよく、チアノーゼや体重増加不良となることはまれで、半年から2歳までの間には自然と消えてしまう。
まれに、喉頭や舌の根もとなどの奇形や先天異常、先天性心疾患が原因となっていることがある。しかし、大部分は特別な治療をしなくても、半年から一年くらいで徐々に改善していく。

急性細気管支炎

乳幼児にみられる特殊な 気管支炎 で、 細気管支 ( 気管支の最先端 )の閉塞を起こす怖い病気である。とくに2~8ヶ月くらいの赤ちゃんに多くみられ、1歳以上になると少なくなる。
繰り返し起こることはほとんどなく、反復する場合は ぜんそく性気管支炎 や 気管支ぜんそく と考えられる。

症状

鼻みずや軽いせきなどで始まり、発熱を伴うこともある。ミルクの飲みも悪くなり、しだいに発作的にぜーぜーしてせき込み、苦しがるようになる。
ひどいときは、呼気に伴ううなり声が聞かれ、呼吸も速くなって1分間に60~80回に達し、息をするたびにみぞおちがへこむような呼吸のしかた( 陥没呼吸 )をするようになる。こうした呼吸がみられると、赤ちゃんはぐったりして、唇や爪が紫色になるチアノーゼがあらわれてくる。

最も危険なのは、呼吸困難が起こってから2~3日間で、その間に十分な治療を行う必要がある。おもに乳児がかかる病気なので、手当が遅れると生命にかかわる危険もあるが、早期に治療すれば、数日で治ってしまうものである。

小さい赤ちゃんで顔色が悪く息づかいも荒く、ぐったりしているときは、熱がなくても、すぐに治療を要することが多い。このような症状は、細気管支炎だけでなく、先天性心疾患や肺炎にもあり、どの場合でも最も危険な状態である。

原因

主としてRSウイルス、そのほかバラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスやマイコプラズマなどが原因で起こり、冬季や初春に地域的に流行する。

気管支末端がむくみなどで閉塞されるため、肺で十分な酸素を取り入れることができなくなり、からだの酸素が不足して呼吸困難などの重大な症状があらわれてくる。

生活の注意

多くの場合、発病の1週間くらい前にまわりの人たちがかぜをひいている。それがうつって発病するので、赤ちゃんのそばにかぜをひいた人を近寄らせないようにしたい。
家庭では保温につとめ、部屋の湿度を上げる。脱水を防ぐために水分を十分とらせて、一刻も早く医師の診察を受けることが大切である。

気管支ぜんそく

乳児には比較的少なく、1歳ごろから増えてくる病気で、息をするときの、ゼーゼー、ヒューヒュー、ビュービューという音と、息を吸うときより吐くときのほうが苦しい呼気性呼吸困難の発作が特徴である。

症状

発作のときの症状は、軽症から重症までさまざまである。軽症では、眠っているときにヒューヒューという音が聞こえる。
重症では、激しい呼吸困難のために、全身を使ってあえぐように呼吸をし、ゼーゼーという音が離れたところからでもよく聞こえる。

また、横になっていることができないで座った姿勢をとり、じっとしているのが苦しいために、動きまわってさらに呼吸困難をひどくしてしまったりする。
重症の発作では睡眠がとれず、食べ物ものどを通らなくなる。水分もとれなくなると、たんがますます粘りが強くなって気管支の壁にへばりつき、からだが酸性化して症状を悪化させてしまう。

原因

気管支粘膜のマスト細胞でアレルギー反応が起こって気管支が細くなり、粘膜がむくんできて気管支の内腔が狭iなる。さらに粘りけの強い濃いたんが、その狭い内腔に詰まるために起こるもので、アレルギーと感染がおもな原因となっている。

ほかに自律神経の失調、心因性のものなどが原因または関係していることもある。アレルギーの場合は、牛乳、鶏卵、大豆などの食べ物や、家のなかのホコリ、とくにそこに含まれているダニの死骸や糞、家具、衣類、猫や犬の毛、花粉、カビ類などに反応して発作が起こる。

大気汚染や過労、精神的な疲れ、たばこや花火、線香の煙が誘因となることや、気象の変化も影響している。梅雨時や秋に多くみられるのはそのためで、台風、前線の発生時や接近したときなどに発作を起こす子どもが多い。

心因性では、たとえば学校ぎらいであったり、叱られたり、両親と離れて過ごさなければならないことなどが原因となって発作を起こす。

治療

何よりも大切なことは、ぜんそくを起こしている原因物質を突き止め、それを排除することである。ペットの動物を飼わない、カーペットを敷かない、タンスの上に物を置いてホコリがつくようなことをしない、人形は洗えるものにする、まわりの大人はたばこを吸わないなど、発作を起こしやすい状態や環境をつくらないことが大切である。

また、体質改善のために抗アレルギー剤の吸入や内服のほか、テオフィリン(発作止め)や気管支拡張剤、ときにステロイド剤を続けて使用するなど、発作を防ぐ方法がとられる。発作が出たときは、症状に応じてテオフィリン、気管支拡張剤の服用や吸入、静脈注射、点滴などの対症療法が行われる。

生活の注意

日常生活では過保護を避け、積極的にからだを鍛えさせる。規則正しい生活をさせ、自信をも仁せて精神的影響が出ないように心がけることが大切である。