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原発性無月経

満18歳になっても、一度も月経がないものを原発性無月経という。現在では小学校卒業までに約半数の女子に月経が始まり、中学校卒業までにはほぼ全員に月経がみられる。

原因

原因の多くは奇形、あるいは染色体異常など先天的なものである。また卵巣や子宮が先天的にない場合、発育が不完全な場合にも月経はない。

奇形としては膣閉鎖、処女膜閉鎖があげられる。膣や膣の入り口が閉鎖していることから、実際に月経があっても出血がみられないため、無月経と思われているが、乳房などは発達しており、月経と同じような下腹部の痛みがある。
染色体異常にはターナー症候群や副腎性器症候群などがあり、16歳くらいまでに月経がない場合は産婦人科医の診察を受けたほうがよい。

治療

先天的な桂閉鎖や処女膜閉鎖の場合は、閉鎖部を切開する。卵巣や子宮が先天的になかったり、発育不全の場合は性ホルモン剤の服用によって、その機能を高める治療が行われる。

骨盤腹膜炎

子宮、膀胱、直腸は小骨盤内にあり、これらの上面をおおっている腹膜を骨盤腹膜という。骨盤腹膜炎は子宮周囲炎、卵巣周囲炎を含んだ骨盤腹膜の炎症の総称。

症状

小骨盤に限られた腹膜炎であるため、広範囲の腹膜炎よりも症状は軽いが、38~49度の高熱が出て、下腹部にじっとしていても感じる痛み(自発痛)があり、ときどき吐きけや嘔と吐もみられる。
慢性になると、運動しているときや月経のときに強い痛みが残ることもある。この病気後、不妊症になったり、妊娠したとしても子宮外妊娠を起こす可能性がある。
一般的に子宮内膜炎子宮付属器炎から連続して感染し、分娩や流早産、人工妊娠中絶後に多くみられる。うみのような性質の滲出物がダグラス窩いう子宮と直腸との間にあるくぼみにたまると、ダグラス窩膿瘍となる。

原因

ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸けんき菌、嫌気性菌、淋菌、結核菌などの細菌に感染して発病する。

診断と治療

診断は自覚症状、内診、血液検査などを参考に判断する。治療は入院したうえで、子宮付属器炎と同様に抗生物質による薬物療法を行うが、膿瘍については切開排膿による手術療法が必要である。
完全治癒までには、比較的長期間かかる。

子宮付属器炎

骨盤のなかの性器臓器のうち、最も炎症を起こしやすいのが卵管であるが、卵巣の炎症を併発している場合も多いことから、これらの炎症の総称を子宮付属器炎という。

症状

急性期、亜急性期(急性と慢性の中間的な時期)、慢性期とで症状は異なる。急性期のものは発熱を伴い、必ず下腹部に痛みが起こる。激痛から鈍痛までさまざまであり、おりものの増量も認められることがある。
慢性期の痛みは、おもに下腹部の鈍痛、腰痛、月経困難症などの不定の自覚症状がある。虫垂炎子宮外妊娠と間違いやすい。

原因

外陰から膣、子宮へと、尿と逆の流れにそって感染することが多く、ブドウ球菌、大腸菌などの細菌によっかのうて感染する。化膿菌が原因の場合は炎症がひどく、卵管、卵巣に膿瘍ができる。
誘因については、流産、分娩などが考えられるが、人工妊娠中絶に伴う感染にも注意しなければならない。外国では、淋病による感染がいまなお数多くみられるが、日本では少ないのが特徴である。

治療

急性期と亜急性期では安静にして、抗生物質による薬物療法が主体となっている。卵管膿瘍などができた場合は、卵管を摘出する。子宮付属器灸の治療後は一般に良好ゆちゃくだが、後遺症として、卵管の癒着による不妊症を招く恐れがある。
不妊症の女性のなかには、慢性の子宮付属器炎の患者が多く、また、にこの病気にかかり不妊症となるケースもある。