2015年 2月 の投稿一覧

心臓神経症

心電図やX線検査では何も異常がないのに、循環器系に関係したさまざまな症状があらわれるものを心臓神経症といっている。

症状

動悸、息切れ、胸の痛みがおもな症状である。息切れは軽い運動のあとに起きることが多く、息がつまるような感じがして、思わずため息をつくことがある。
胸の痛みは心臓のあたりに生じるため、狭心症と間違えやすい。しかし心電図に異常がみられないばかりか、ニトログリセリンなど狭心症の薬を用いてもはっきりとした効果はあらわれない。
また動悸に多少の不整脈を伴うことがある。このほか、めまいや手足のしびれ、頭痛、不眠などさまざまな症状があらわれる。心臓神経症患者を精神医学的に分類すると、不安状態、心気状態、ヒステリー状態、抑うつ状態の四つに分けられるが、そのなかでも不安、緊張などの精神症状を訴える不安状態の人が圧倒的に多い。

原因

神経症的な素因や体質をもっている人にさまざまなストレスがかかったときに起きるといわれている。

診断

似たような症状を訴える病気が多いため、正確な診断が重要である。そのため循環器以外の病気との識別を慎重に行う必要がある。とくに軽度の心不全や動揺性高血圧、アダムス・ストークス症候群と間違えやすいので注意が必要である。

治療

何よりも重要なことは、患者自身が心臓に何の異常もなく、健康であることを理解することである。そのためには、自分が信頼できる医師の治療を受けるとよいだろう。
実際の治療では、患者の精神状態によって多少異なるが、カウンセリングを中心に、精神安定剤や抗うつ剤などの薬物療法が行われる。また、場合によっては心療内科による各種の精神心理療法を受ける方法もある。

心膜炎

心臓は、心膜によって二重におおわれていて、その間には、心臓が収縮・拡張するさいに二枚の膜に摩擦が起きないようリンパ液が詰まっている。心膜炎は、この心臓を包んでいる膜に炎症が起きる病気である。

症状

はじめのうちは原因となる病気の症状があらわれるだけで、心膜炎自体の症状が出ることは少ない。胸の痛みや呼吸困難などの症状があらわれるのは、病気が進んでからである。
胸の痛みは首すじや肩にも広がるが、座ったり、上半身を前に傾けると痛みが軽くなる特徴がある。さらに病気が進行して、心膜腔の貯留液が急激に増えると心臓が十分に拡張できなくなってショック状態(心タンボナーデ) に陥り、呼吸困難に加えせんして急性心不全状態となり、心膜穿刺を緊急で行わなければならなくなる。

原因

心膜炎の原因にはさまざまなものがある。原因が不明の特発性心膜炎もあるが、ほかに細菌(結核菌など)やウィルスの感染、膠原病、心筋梗塞後症候群、尿毒症、悪性瞳瘍、甲状腺細菌では結核性のものが最も多く、曙原病では全身性エリテマトーデス、強皮症などで心膜炎を合併するケースが多くみられる。

診断と治療

以前は心膜炎自体の症状が少ないため、早いうちに心膜炎を見つけることはむずかしかったが、現在ではCTなどの発達により診断が容易になってきた。
治療は原因となる病気に対するものと、心模炎そのものに対するものとが並行して行われる。原因となる病気の治療としては、細菌性のものに対しては抗生物質が、結核性のものには抗結核薬が、膠原病にょるものには副腎皮質ホルモン剤などがそれぞれ用いられる。
一方、原因がなんであっても、大量の心膜液がたまって心臓の運動を障害する場合は、胸膜から針を刺して貯留液を抜く心膜穿刺が行われる。
また慢性の心膜炎で、心膜が癒着したり、かたく厚くなって心臓の運動に支障が起こった場合には、心膜をはがす手術が必要になることもある。

胸膜炎

症状と原因

原因はさまざまであり、細菌やウィルス、リケッチア、真菌などの感染によって起こるものや、リウマチなど全身性の疾患が原因となることもある。
症状は原因によって変わり、次のような症状をきたす。細菌やウィルス感染によるもの全身のだるさや動悸、頻脈、不整脈などが起きることもある。
しかし一過性のものなので、見過ごしやすい。軽症のものは心電図の測定をしなければわからないこともあり、ほとんどが自然に治癒するものである。
ジフテリア心筋炎ジフテリア菌の毒素によって心筋に壊死が起こる心筋炎で、最近はほとんどみられなくなった。症状としては不整脈が主で、心臓ショックや突然死に至るケースもあり、患者の50% は死亡する。リウマチ性心筋炎発熱や喉頭痛、せきなどかぜの症状が初期に起こり、進行すると心不全や不整脈が出ることもある。

治療

心筋炎の症状が消えるまで絶対安静にすることが第一である。